グラスホッパーを見てきた。
2015年11月7日グラスホッパー公開おめでとうございます。
以下、内容のネタバレを含みますので、映画未視聴の方、また原作未読の方はご注意ください。 そして、ただのいちファンの感想と妄想なので、ご了承を。
舞台挨拶とかではなく、普通に映画を2回見た後の感想です。
話の流れは前後してたり、省いてたりする部分もありますが、散らかることを前提に印象深かったことをポツポツと。ほぼほぼ蝉と岩西のお話になります。
冒頭からハロウィンのよるの話で、これがオープンセットで撮られたということを知らなければ、本当に渋谷だなと思ってしまうすごいセットから始まったり、広告でマリアビートルの看板があったりなどワクワクします。
原作にも三人の視点が変わるとき出て来る判子?が出てきてテンションあがりました。
鈴木の平凡なキャラクターがどうしてフロイラインのような会社に入ってるか。百合子との関係が原作より深く描かれていたので、物語に入りやすかったです。
鈴木は、本当に何も囚われないただただ普通の人というイメージでいたので、そんな鈴木を斗真くんが演じて安心感があったというか。原作のように、フロイラインに捕まってしまったカップルを殺せとは言われてはいないのですか、キャッチで引っかかった鈴木の元教え子を名乗るギャルが睡眠薬を飲まされ、フロイラインに捕まってしまいます。そのときに、ごめんね。助けるからねと気遣ったり、比与子たちから逃げるシーンなど鈴木だなぁと思わせられました。
鈴木の本当に普通で、むしろ一般の男性よりむしろ情けないところが際立ってて、近々でみた斗真くんの演技はウロボロスだったので、全く逆のキャラクターを演じる生田斗真という役者は改めてすごいなとかんしました。
鯨のシーンになりますが、鯨がターゲットを自殺に追い込むシーンで、瞳から光が消えていくのが、生気が感じれずこれから死にゆく人の姿を映してるのかとゾクゾクしました。
原作より罪の意識がハッキリしている感じがしました。それは、一番最初に自らの意思で殺した父親の存在があるからだとは思いますが、最終的に自分の罪を終わらせるという目的に一直線でブレてないキャラクターなのだなと改めて思い感じました。
浅野さんは本当にそこにいるだけでオーラというか、鯨です!という雰囲気が大きく、アクションシーンでも迫力がありすごかったです。
で、蝉なのですが・・・。
私は原作もですが、大須賀めぐみ先生のスピンオフ版の「魔王JUVENILE REMIX」「Waltz」が大好きで、中でも蝉が大好きなキャラクターでした。
なので、グラスホッパーが映画化されるときにとても驚いたのですが、何よりも蝉を演じる山田くんという驚きが大きかったです。
はっきり言って、ものすごく始まるまで不安が期待を上回っていました。もちろん、自担が大好きな作品の実写版に出る、しかも自分の一番好きなキャラクターを演じる。でも、蝉か?と言われれば、蝉ではないよな…と思ってしました。それは、本当にいい意味で期待を裏切られました。動いた瞬間にのアクションシーン、あ…蝉ちゃんがそこにいるんだ。と思えました。
パンフレットを読むと、冒頭のアクションシーンはカットなしで撮ってるとあり、ただただすごいな。とそんな感想しか出せない自分の語彙力…となりました。
最後に 命乞いをされて殺した瞬間に目を閉じたときの顔…たまらん。
寺原Jr.に仕事を終えたことを報告する岩西。
岩西も割りと不安要素でしたが、岩西だった…。すごい、胡散臭さが岩西だった。お金くらいしか信用してない感じがした…。
岩西事務所で仕事を終えた蝉が岩西を待っていましたが、かわいいことかわいいこと。
二人のやりとりがすごいうわっ岩西だ!ってなりました。帽子を被せる辺りがアドリブらしいのですが、そのあたりももう蝉と岩西そのままで。本当にこの二人のやりとりは、お互いがお互い信用してるんだろうなというやり取りでした。なので、「相棒」や「親友」「パートナー」と書かれていたのかな、と。映画ならではの関係性である。
ここでのやりとり、2回目に見たときに山田くんが「瞬きを極力しないようにしていた」とあったので、よく見ていたのですが本当にしてなくてギャグっぽいシーンなのに普通の人じゃない感が出てました。それにしても蝉ちゃんの驚き方かわいい。
蝉のお部屋に抑圧のポスターがあったことが嬉しかった。映画の中では、操り人形ではない、自由であるという部分に触れずに進むので、こういうところで出してくれるのが嬉しかったです。
耳鳴りがする部分は、こっちも聞いてて嫌になる音でうっとなりました。その後のナイフ使いですが…ここが、代役なしでした部分か…と山田涼介すごい(自担上げ)
交差点で寺原Jr.が押し屋に殺されるのを目撃して、槿を追う鈴木。
槿の吉岡さんもミステリアスな雰囲気ハンパなかったです。
とくにトノサマバッタの話してるときの怖さと言ったら。吉岡さんが出てる間は、すごい怖い雰囲気がただよっていました・・・。
途中で比与子さんたちに居場所を突き止められて逃げる鈴木なのですが、菜々緒さんの比与子さん最高にはまり役過ぎて強力でした。「よくも私をはめてくれたわね」の言葉や、ガストで鈴木を見つけて追い回すシーンなど、怖い怖い・・・。
寺原Jr.を轢いたドライバーを寺原会長の命令で殺すのですが、そのときの顔とか最強に裏社会の女って感じです。
一方で鯨を殺す依頼をジュニアから受けて、鯨の身辺調査をしてた岩西ですが、発信機がバレて、ねぐらにしてるキャンピングカーを移動されてしまいます。
そこに蝉が行くのですが…すでに鯨はいない。黒猫を抱える蝉ちゃんかわいすぎ。
で、文句を言いに行く蝉ですが、岩西に「雇い主に向かってその口の聞き方はなんだ」と言われてしまい、「俺たちは相棒じゃなかったのかよ…」となる蝉;;;
さっきは相棒と言われて「仕事の関係でそれ以上でも以下でもねぇ」と言っていたのに、動揺してしまってる蝉が可愛すぎてですね(蝉ちゃんが大好きなのです)
映画の中の二人の関係性は本当に仲が良いという言葉にしてもいいのかなと思えました。言われた蝉の切なそうな表情もですし、蝉が帰った後の岩西のばつの悪そうな顔とか。ビジネスでの関係だけなんていえないよな~と。
面と向かって会話しているのはここが最後と思うと、ここですら涙が。
そして、岩西と鯨が事務所で対峙する。
詫びの電話を蝉に入れる岩西。仲直りできてよかった~と普通に思ってしまいました。
「今度はヘマすんじゃねぇぞ」とニヤッとなるところとかあ~となる。
本当に相棒なんだなと感じた瞬間はここでした。原作は~とか抜きに、もう映画の関係性として見れて、2回目ではこの距離感が好きになってました。
そして、鯨が事務所にやってきて、鯨に自分の罪を問いかけられ「俺の罪はあいつをこの世界に引きずり込んだ事だ。」と答えます。
映画の岩西は蝉を殺しの世界に対して引きずり込んだことに負い目があることは、原作との決定的な違いのように思いますが、映画の二人の関係って本当に馬鹿やってる同士というイメージを持ったので、その裏の世界に引きずりこんでしまったことに対して負い目があるからこそ、無意識に普通の友人のような関係を作ろうとしてたのかな?と思いました。
そして、最後に蝉から電話がかかって来ます。原作とは内容が違うのですが。
岩西から「殺すとき何を考えてる?」の問いに答えます。
蝉「耳鳴りがやめばいいなと思ってしているんだ。ナイフを持つ時に止まる。それともうひとつ・・・」
岩西「シジミを眺めてるときか?」
蝉「それもあるんだけどよ、お前とくだらねぇ話をしてる時にも止まるんだ。」
あかん;;;;;;;;;
その後の「それじゃ、病院いけよ。俺はもうお前としゃべれない…目の前に鯨がいる…。」と、岩西から最後のヒント残して窓から飛び降ります。
「死ぬんじゃねぇ、俺は飛ぶんだよ。死ぬのはそのついでだ。」
原作には自殺する奴が大嫌いと言っていた岩西。映画では触れられないと思っていましたが、こういう台詞で入ってくるとは思わなかった…。
鯨の去り際に岩西の携帯から蝉の「おい、岩西?岩西ィィィィ」という叫びが本当につらかった…もう…。
切っていたはずの携帯の電源が入っていて、比与子からの着信に応じて、ギャルを解放する条件にフロイラインの事務所へ向かう鈴木。
そこで百合子が子供を庇って轢かれたことを知ります。映画では鈴木と百合子の関係をめっちゃやってたから、ここでも泣きそうになりました・・・。
鈴木が寺原会長に殺されそうになったときに現れる鯨。鯨がパワー系過ぎてビックリしてアクションで、というより唖然としてしまいました。鈴木は頭を打って気絶してしまいます。
なんとか鯨から逃げ切りエレベーターに乗った寺原会長を待ってたのは、ギャルでした・・・。スズメバチここでこうきたかー!という感じでした。
最後の鯨と蝉の戦闘シーン。
「岩西の仇…。」映画の二人の関係性なら、そうなるよなというワード。
蝉が鯨と戦っている間に、耳鳴りがして左耳を切り落とすのですが。
耳鳴りがしない時というのは、「ナイフを持っているとき」「しじみを見ているとき」そして「岩西と会話をしているとき」と前のシーンの台詞にありました。
鯨と戦っていて、ナイフを持ってるのに何で耳鳴りがしてるの?と思ったのですが…。
蝉がナイフを持つ理由は仕事をするためであり、それは岩西から受けた仕事をするために繋がるのかなと。なので、ナイフ=仕事=岩西という感じだったから、ナイフを持っている間は耳鳴りがしなかった。でも、岩西が死んだことにより、仕事の意味もなくなり、耳鳴りがした…。と思った瞬間に涙腺が。耳鳴りがしなくなったことで、ナイフもいらなくなる。
ナイフって蝉のアイデンティティーのようなものだったのではないかと感じていて。
そのナイフを持っている時は、自分は自分でいれるという証明だったはずで、仕事をしてるときは何よりも自分でいれたのではないかな。でも、鯨と戦っているときはもうその仕事もない、これから入るものもない。だから耳鳴りがしたと考えたら。
耳鳴りがしなくなったことで、ナイフもいらなくなり。あと残されているのは、岩西の敵討ちだけ。蝉にはなにもの残っていないのだなと。
殺しの仕事をしているのは岩西との関係を繋いでいるものであって、映画の蝉は原作よりも岩西に対しての依存度が大きかったのかもしれないなと思いました(原作もドライな関係に見えて、やっぱり依存してたように思うので)
蝉が鯨から、「今、何を考えている?」と聞かれ「俺はダチのことだ。たった一人のダチだ。」と答えていました。公開前に「蝉と相棒の岩西」と書かれて、え?相棒ってなんなの?とか思い困惑していたのですが。その言葉を聞いて、映画の中でのブレない関係性が現れた言葉だろうなと。
すごい散乱してしまっていますが、最後の戦闘シーン。本当にすごい良かったです。
横で岩西が見てるのに、蝉には見えないというのも、グッときた。泣いた。
ただ、原作にある蝉が鯨に撃たれて倒れた後の会話が欲しかったなという欲張り。岩西の「お前は俺の誇りだ」からの「勝手に誇りにするな」が欲しかった…。
鈴木が目を覚ますと、すべてが終わった後です。
寺原会長も比与子も、そして建物から出ると鯨と蝉の死体が。
死体の横に立っている鯨と蝉、死体を呆然と見る鈴木。
なんか面白すぎる図になってるのですが、この3人が同じ画面にいるところは唯一このシーンだけ。
そのあと、鯨のキャンピングカーに乗って「とりあえず、俺んちいかね?お前にみせたいものがある。」と二人は去っていきます。
岩西もつれてってよ~~~ってなったけど、岩西なら先に蝉のアパートに居そう。
そして1年後。
ここで、槿の妻(実際には劇団の人間であって、槿とはその日初めてあった全くの他人)のすみれからネタばらしがあります。
劇団のこととかどうするのかなーと思ったら、ラストで説明してくれて、原作知らない方でもスッキリするような終わり方かな。
やはり、原作を知っているとここが入ってないとかもろもろあるかもしれないのですが、2時間にまとめないといけなくなると、原作の流れを少し変えて作られたものは、ブレが生じてう~んとなることが多いのですが、グラスホッパーに関してはここで行動したらこうなるよな。とすごい納得いく流れになっていたように感じます。
なので、ここは入れて欲しかった~と思う部分もあるのですが、映画としてのまとまりがよかったな~と思いました。
もともと好きな作品であるが故に、あまり期待しすぎてガッカリしてしまう前にとてもハードルを下げていたのですが…そんなことないくらい楽しめたなと。
原作の蝉、井田漫画の蝉、大須賀漫画の蝉、舞台版の蝉、そして映画の蝉。
蝉ちゃんが大好きだということも再確認です。
なにより、山田くんが初めて挑んだ映画ということで、それを思うだけでこの作品に出演してることを見ることが出来てよかった。また俳優山田涼介の新しい一面を見ることが出来て幸せだなと。
山田涼介という役者をもっと見て行きたい。そう思える作品で、それがスクリーンデューの撮影1つ目だったことに感謝します。
予想以上にとっ散らかってしまいましが、まだまだ見たいです!また劇場に足を運びます。最後になりますが、本当にグラスホッパー映画化おめでとうございました!!!!!